【法的リスク】盗難車と知らずに名義変更したらどうなる?「善意の第三者」と即時取得の落とし穴
「掘り出し物の車を見つけて名義変更まで済ませたのに、後日警察から『これは盗難車です』と連絡が来た」
想像するだけで血の気が引くような話ですが、現実味のない話ではありません。自分が「盗難車だとは知らなかった(善意)」場合、法律はあなたを守ってくれるのでしょうか?それとも、車もお金も失うことになるのでしょうか?
今回は、民法の「即時取得」という概念と、自動車登録の特殊な関係について解説します。
1. 「善意の第三者」なら自分のものになる?
結論から言うと、普通車(登録車)の場合、盗難車を自分のものにすることは極めて困難です。
通常、動産(時計やカバンなど)については、過失なく「自分のものだ」と信じて取引した場合、その所有権を手に入れられる「即時取得(民法192条)」という制度があります。しかし、自動車には以下のルールが適用されます。
普通車(登録車)は「即時取得」の対象外
普通車は不動産と同じように「登録制度」があるため、即時取得が認められないというのが判例の通説です。
なぜ?: 登録を見れば本当の所有者が誰か確認できるはずなのに、それを怠って盗難車を買ったのであれば、「無過失(落ち度がない)」とは言えない、と判断されるためです。
軽自動車の場合は?
軽自動車は「動産」としての性質が強く、登録(届出)制度が普通車ほど厳格ではないため、即時取得が認められる可能性があります。ただし、盗難車には次の強力なルールが立ちはだかります。
2. 盗難後「2年間」は元の所有者が最強
たとえあなたが善意の第三者として即時取得の要件を満たしたとしても、民法193条により、元の所有者は盗難から2年間は無償で返還を請求できます。
- 2年以内: 元の所有者が「返して」と言えば、無条件で返さなければなりません。
- 対価の弁済(194条): もしあなたがオークションや中古車業者から公然と買った場合は、元の所有者は「あなたが支払った代金」を支払わなければ車を取り戻せません。しかし、個人売買などではこの保護も受けられないケースが多いです。
3. 名義変更(登録)の現場で起きること
盗難車を名義変更しようと運輸支局へ書類を出した場合、どうなるのでしょうか?
- システムでの発覚: 運輸支局のシステムと警察の盗難車両データが照合され、登録がブロックされることがあります。
- 警察の介入: その場で、あるいは後日、警察から事情聴取を求められます。
- 車両の押収: 盗難車は「証拠品」として押収されます。手続きを済ませていても、あなたの手元から車は消えてしまいます。
4. リスクを回避するためのチェックリスト
「知らなかった」では済まされない損失を防ぐために、個人売買では以下の点を確認してください。
- 登録事項等証明書の確認: 現在の所有者と、目の前の売主が一致しているか。
- 車体番号の打刻チェック: ボンネット内などの車体番号が削られたり、上書きされたりしていないか。
- 価格の不自然さ: 相場より極端に安い場合は、何らかの法的リスク(盗難、金融流れ等)を疑う。
- 売主の身分証: 免許証のコピーなどを取り、連絡先を確実に把握しておく。
5. 行政書士ができるサポート
「この取引、法的に大丈夫かな?」と不安を感じたら、プロの出番です。
- 履歴の調査: 登録事項等証明書の取得代行を行い、過去の所有者や差し押さえの有無を調査します。
- 契約書の作成: 万が一盗難車であった場合に、代金を全額返還させるなどの「瑕疵担保責任(契約不適合責任)」を明記した売買契約書を作成します。
- 適正な手続きの完結: プロが介在することで、売主に対しても「不正は通じない」というプレッシャーになり、トラブルの抑止力となります。
まとめ:盗難車に「安物買いの銭失い」は通用しない
盗難車を名義変更しても、真の所有権を得ることは難しく、最終的には車を失い、支払った代金も返ってこないという最悪の結末になりかねません。
「善意の第三者」という言葉に甘えず、確実な裏付けを取ることこそが、中古車取引の鉄則です。
少しでも「怪しい」と感じる点があれば、登録手続きを進める前に、まずは当事務所へご相談ください。
法的な観点から、あなたの資産を守るためのアドバイスをいたします。
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